近年は、勤務年数や年齢を重視する年功序列制度が衰退し、勤務年数や年齢に関係なく実力次第で昇進できる成果主義の浸透にともない、転職先で「年下の先輩社員」、「年下の上司」という関係性も珍しくありません。
転職面接で、「年齢が高いですが、なじめますか？」と質問されたときの面接官の意図、回答のコツを回答例を挙げて説明します。
なぜ「年齢が高いですが、なじめますか？」と質問するのか？
「年齢が高いですが、なじめますか？」という質問は、応募先企業で応募者よりも若い社員が多い場合や若い上司がいる場合に聞かれる質問です。新入社員が先輩社員よりもどれだけ年上であっても先輩社員に対して敬意を払わなければいけません。しかし、頭では分かっていても実際仕事をする上でやりにくさを感じるものでしょう。新入社員でありながら「年齢も経験も自分の方が上」という意識が強くなってしまうと、年下の先輩社員や年下の上司に対して敬語が使えなかったり、横柄な態度が出たりして、関係がギクシャクし、仕事が円滑に進まなくなる可能性もあります。
そのようなことがないように、敬意をもって年下の先輩社員や年下の上司と接し、良い関係性を築くことができるのかどうかが見られます。
似たような意味で以下のように質問される場合もあります。
- 上司が年下になりますが気になりますか？
- 若い社員が多いですが、うまくやれそうですか？
- 他の社員との年齢差は気になりますか？
「年齢が高いですが、なじめますか？」と質問された時の具体的な意図とは？
「年齢が高いですが、なじめますか？」の質問の背景ある面接官の意図を具体的に説明します。
- 周りの年齢に関係なく職場に柔軟に適応できるか？
- 年下の社員からも謙虚に学ぶ姿勢があるか？
- 自社の仕事のやり方に柔軟に対応できるか？
「1. 周りの年齢に関係なく職場に柔軟に適応できるか？」について
周りが年下の社員や上司が多い場合、「年齢も経験も自分の方が上」や「年下社員にナメられたくない」というプライドが足かせになってしまうと、態度が横柄になったり、敬語が使えなかったりすることで良好な関係を築けず、業務も円滑に進めることができなくなります。応募者が年上であっても年下の社員や上司に対して柔軟に対応できるかどうかを見極めようとします。
「2. 年下の社員からも謙虚に学ぶ姿勢があるか？」について
応募者が周りの社員よりも年齢が高い場合でも新入社員であることには変わりありません。たとえ同業界・同職種への転職であったとしても、企業によって仕事の内容、進め方、社風などは異なります。前職のルールは持ち込まず、謙虚な気持ちで一から学ぶ姿勢が求められます。
「3. 自社の仕事のやり方に柔軟に対応できるか？」について
年齢を重ね、キャリアを積むにしたがって、自分固有のやり方が確立されていくものですが、同時に柔軟性が失いがちになってしまいます。しかし、それぞれの企業には固有のやり方やルールがあります。前職や自分固有のやり方にこだわってしまうと、周りとの協調性を失い、業務の進行も滞ってしまいます。自社の業務の進め方やルールに従う柔軟性を持っている人なのかどうかが見られます。
「年齢が高いですが、なじめますか？」の質問に対する効果的な答え方
「年齢が高いですが、なじめますか？」の質問に対しては、年下の社員や上司とも問題なくうまくやっていけることを伝えて面接官に安心感を与えることができるように答える必要があります。効果的な答え方について以下に説明します。
柔軟性や協調性をアピール
今までのキャリアの中で、年下の先輩社員や上司とうまくコミュニケーションを取り、柔軟に対応し、協力して仕事をしてきた経験があるならば、具体例を含めて柔軟性や協調性に問題がないことを伝えます。
もし、そのような経験がないならば、年齢に関係なく先輩社員や上司を敬い、柔軟に対応し、周りと協調して仕事を進めていく気持ちがあることをアピールします。
謙虚な姿勢を伝える
面接官が懸念するのは、年下で年齢差があるスタッフに対しても、きちんとした言葉遣いや態度で対応できるかどうかということです。「同僚や上司が年下でも、謙虚な気持ちで仕事を学びたいと思います。」などと、年齢差がある年下のスタッフからも謙虚に学ぶ姿勢があることを示しましょう。
過去の実績や肩書にとらわれず、積極的に仕事をする意欲を伝える
過去の実績や肩書などにとらわれるあまり、「自分の方が上」という気持ちが勝り、周りの従業員を見下し、不遜な態度を取ったり、言葉遣いが悪くなったりしないかを面接官は懸念します。過去の実績や肩書きにとらわれず、謙虚な気持ちを持ち、一から仕事を覚えていく覚悟で積極的に仕事をやっていく姿勢を伝えましょう。
「年齢が高いですが、なじめますか？」と聞かれたときの良い回答例
「年齢が高いですが、なじめますか？」と聞かれたときの良い回答例を以下に紹介します。面接官がこの質問で何を求めているのかを知り、それらを盛り込んで回答しましょう。
良い回答例1
(1)はい、全く問題ございません。前職でも20代の社員が多く、(2)私がチームリーダーとなり仕事を行ってきました。コミュニケーションもうまく取り合い頼りにされる存在でした。御社に入社しましたら、(3)上司や同僚の年齢に関係なく謙虚な気持ちで積極的に仕事を覚えていきたいと思います。
面接官は(1)のように「問題ない」という回答を期待しています。最初に結論を語り、その後、具体的なエピソードを話し、(2)のように年齢差は全く問題ないことをアピールします。最後に(3)のように、謙虚な気持ちを伝え、積極的な姿勢を伝えます。
良い回答例2
はい、(1)問題なく対応できます。年下の上司・先輩社員の職場経験はほとんどありませんが、（2)年齢は気にせずに先輩として敬い接していきます。業務面では、自分のやり方にこだわらずに（3)御社の業務の進め方に柔軟に対応していくつもりです。
上の回答例でも(1)のように問題なく対応できる旨を回答します。(2)のように年下社員に対しても先輩として敬う姿勢を伝えています。最後に(3)のように、自分のやり方に固執せずに応募先企業のやり方に柔軟に対応する姿勢を伝えています。
「年齢が高いですが、なじめますか？」と聞かれたときの悪い回答例
「年齢が高いですが、なじめますか？」と聞かれたときの悪い回答例を以下に紹介します。以下のような回答では評価をさげてしまいますので注意しましょう。
悪い回答例1
はい、大丈夫です。
なぜ「はい」と言い切れるのか、過去のエピソードを語って根拠を示したり、自分なりの考えを伝える必要があります。
悪い回答例2
年齢差のある若い社員とはあまり一緒に仕事をしたことがないので、もしかしたら意見が合わないこともあるかもしれませんが、なんとかうまくやっていけるよう精一杯がんばります。
面接官を不安にさせるような言い方は避けるべきです。「全く問題ない」ことをアピールしなければなりません。
悪い回答例3
若い人と仕事をするのは楽しいので大丈夫です。
ただ楽しいだけでは根拠で弱いです。仕事人としてどのような考えをもっているのかを伝える必要があります。
「年齢が高いですが、なじめますか？」の質問に対する回答方法のまとめ
- 具体的なエピソードを織り交ぜて、柔軟性や協調性があることを伝える。
- 年齢差があっても、謙虚に学ぶ姿勢があることを伝える。
- 自分の仕事のやり方に固執せずに、応募先企業のやり方に柔軟に対応する姿勢を示す。
