転職で失敗しないためにも応募先企業の社員の離職率は確認しておきたいところです。一般的に、離職率の低い企業は働きやすく、離職率の高い企業はて働きづらいと考えることができます。それゆえ、応募者にとっては社員の離職率(定着度)は入社を決断するうえで重要な要素です。しかし、聞き方や聞くタイミングを誤ると面接官にマイナスの印象を与えてしまいます。
では、転職面接での社員の離職率(定着度)についての逆質問するとき、どのように聞くのが良いのか考えてみましょう。
離職率はどうやって算出するのか?
まず、離職率とは「ある時点で企業に勤めていた従業員の人数のうち、一定期間後に退職した従業員の人数の割合」のことをいいます。離職率の計算方法が法律で定義されているわけではありませんので、「一定期間」が、1年間であったり、3年間であったりと離職率の算出方法は企業によっては異なります。
離職率の計算式は次のようになります。
離職率=(一定期間の)離職人数÷従業員数×100
例えば、ある時点での従業員が100人のうち、1年間で10人が退職した場合の離職率の計算は以下のようになります。
離職率=離職者数÷全従業員数×100
=10人÷100人×100
=10
離職率は「10%」ということになります。
「10%」と聞くと少ないように感じるかもしれません。しかし、仮に毎年10人ずつ退職し、総従業員数が毎年100人だとした場合、5年後には従業員の半数が入れ替わるということです。10年後にはすべての従業員が入れ替わることになります。そのように考えると、「離職率10%」が決して低い数字ではないことに気付きます。
離職率で注意すべきこと
離職率は、「ある時点で企業に勤めていた従業員の人数のうち、一定期間後に退職した従業員の人数の割合」ですが、「一定期間」が企業によっては異なるのは先述の通りです。過去3年間なのか過去1年間なのかによっても離職率が異なる場合があるので注意が必要です。
例えば、3年間の離職率の場合、3年前の従業員数100人のうち、3年間で20人が退職した場合、離職率は20%となります(途中で入社した人数は除外します)。しかし、3年間の離職率の場合、同企業において従業員数100人のうち、直近1年間で5人しか退職しなかった場合、離職率は5%となります。
「一定期間」の部分を企業にとって都合が良くなるように算出される可能性がある点において注意しておいた方がよいでしょう。
また、離職率の計算には正社員のみなのか、派遣社員や契約社員が含まれているのか、パートやアルバイトも含まれているのかなどによっても数字が異なってきます。
離職する理由を知ることが重要
離職率が高い企業は、「仕事がきついのでは?」、「パワハラ上司がいるのでは?」などネガティブなイメージを持ってしまいがちです。しかし、必ずしも「離職率が高い企業=悪い企業」というわけではない場合があることも知っておく必要があります。
例えばベンチャー企業やスタートアップ企業などでは、より高いスキルを身に付けるために転職したり、独立していく人が、他の企業に比べて多くなる傾向があります。退職後、新しい職場で活躍している人が多いならば、離職率の高さがそれほど気にならなくなるでしょう。離職していく理由が重要になります。
また、従業員数が少ない企業は、従業員一人当たりの全体に占める割合が大企業よりも高くなるため、数字上、離職率が高くなります。
離職率を聞くタイミングを間違わないこと
応募者にとって転職を失敗しないためには退職していく人が多くないかどうかは気になるところです。特に前職において「残業時間が多くて体力的にきつかった」、「パワハラ上司のために精神的にきつかった」、「職場の人間関係が悪く仕事がやりにくかったなどの理由で転職活動している応募者にとっては離職率が気になるのはごく自然なことです。
しかし、離職率を質問するタイミングを間違えると、「業務よりも職場環境の良し悪しで企業を選ぼうとしていないか?」や「スキルアップや企業に対する貢献に対して熱意が足らないのでは?」と疑念を抱かれかねません。面接の早い段階で、マイナス印象を持たれてしまうと面接の最後まで悪いイメージが引きずってしまう可能性があります。
面接とは、企業側が求める職務にふさわしい人物かどうかを見極める場であるため、条件や職場環境など職務と直接関係のないことは面接の最後か内定後がベストであると言われています。
離職率の聞き方に注意する
離職率を知りたいとき、「離職率を聞くタイミングを間違わないこと」で書いた通り、質問するタイミングが重要ですが、それ以外にも聞き方も重要です。
単刀直入に「御社の社員の離職率はどれくらいでしょうか?」や「社員の定着率は良いほうでしょうか?」などのストレートな聞き方をすると、業務に対する姿勢が疑われて面接官からの印象が悪くなってしまいます。
「離職率」という言葉を使わない効果的な聞き方
「離職率」という言葉を使わずに離職状況を確認する効果的な聞き方があります。明確な離職率を聞くわけではないため、正確な情報をつかむことはできませんが、従業員の定着具合を確認することができます。
効果的な逆質問例1
私が配属される部署では、御社で何年くらいの経験を積まれた方が多いのかお聞かせいただけますでしょうか?
効果的な逆質問例2
御社に入社すれば、ぜひ長く勤務したいと思っております。努力して皆さんに早く追いつきたいと思っていますが、皆さんは入社して何年くらい勤務されていますか?
離職率についての逆質問のまとめ
- 離職率は、「(一定期間の)離職人数÷従業員数×100」で求めることができる。
- 離職率には、正社員のみなのか、派遣社員や契約社員を含めるのか、パートやアルバイトも含めるのかなどによって数字が異なってくる。
- 「離職率が高い企業=悪い企業」というわけではない場合がある。
- ベンチャー企業やスタートアップ企業などでは、より高いスキルを身に付けて転職する人が多いため、離職率は高めになる。
- 面接の早い段階で離職率について聞かない。
- 経験年数の多い層を聞いたり、従業員が何年くらい勤務しているのかを聞くことで、従業員のおおよその定着度合を確認することができる。